乳児嘔吐下痢症(感染性胃腸炎)について
冬に乳幼児がよくかかる病気です。
多くはウイルス性の急性胃腸炎です。
●どんな病気ですか?
ロタウイルス、アデノウイルス、ノロウイルス(小型球形ウイルス)など多種多様な病原菌によって感染する病気です。
症状は腹痛、嘔吐、下痢、発熱ですが、すべての症状がそろわないこともあります。
乳幼児では多くは突然吐き始め、続いて下痢(クリーム色~白色)になります。痙攣を合併することもあります。
嘔吐下痢による痙攣は群発(小さな痙攣を1日に何回も繰り返す)することが有りますので注意が必要です。
合併症がなければ、1週間くらいでよくなります。
●治療の基本
ウイルス性腸炎に特効薬は有りません。
治療の中心は症状に合わせた治療です。
整腸剤、吐き気止め、下痢止めなどを処方しますが、家庭での食事療法がとても大切です。
吐き続けるときや脱水が強いときは、点滴や入院が必要になります。
吐いたときの対処
1. 嘔吐のあと、約1時間は飲んだり食べたりさせないで、おなかを安静にしましょう。
吐き気止めの座薬は有効です。常備薬として備えておかれると好いでしょう。
2. 1時間以上嘔吐がなければ、水分(お茶、イオン飲料など)を少しずつ飲ませてみます。
1回量を少なめに(乳幼児では30~40ml)飲ませてみます。
30分くらい間隔をあけ、吐かないようなら2~3回繰り返してみます。
3. 数回水分をとっても吐かないことが確認されたら、欲しがれば少し食べさせてみます。
食欲が無いのに無理に食べさせる必要は有りません。
炭水化物(ご飯・お粥・うどん)を食べさせます。油もの、卵製品、乳製品は避けましょう。
4. これで吐かなければ、食べる量や種類を徐々に増やして下さい。
下痢の時の対処
下痢の症状として最も注意をしなければいけないのは、脱水症です。
脱水症の予防と治療は、お腹を休ませることと水分の補給が基本です。
下痢では水だけでなく塩分も失われます。吐き気が無ければイオン飲料などを積極的に飲ませましょう。
下痢をすると余計にひどくなるからと言って、水分を与えないことがありますが、それは間違いです。
また、腸炎で食欲がなくなるのは自己防衛反応です。
腸が病気で弱っているのですから、腸を休ませるため食事を控える必要があります。
消化吸収がよく、お腹に停滞しないものを与えます。
食べさせるもの、避けるものは嘔吐の時と同様です。
ミルクは消化も吸収もよく作られていますが、下痢のときには決してよいとは言えません。
与える場合は1/2~2/3程度に薄めて下さい。
ジュース類でも柑橘類(オレンジ)は下痢が長引くことがあります。
●こんな時は早めに受診を
嘔吐が頻回で、水分が取れない状態が長く続くと脱水症を起こします。そのようなときは点滴が必要です。
1)上記の飲ませ方をしても吐き続けるとき、2)元気がなく、顔色が悪いとき、3)口の中や唇が乾いて、おしっこが少ないとき、は早めに受診して下さい。
●予防について
嘔吐下痢のウイルスは大人にも感染します。
おむつを処理した後は十分に手を洗いましょう。
食前にもよく手を洗い、タオルは個別に使いましょう。
食事も生ものはしばらく避けたほうが良いでしょう。