かぜと抗生物質
抗生物質はかえってお子さんに害を及ぼすことがあるかもしれません。
薬剤耐性菌の存在をご存知ですか?
なぜ、途中でやめてはいけないの?
薬剤耐性菌とは?
抗生物質は細菌を殺すお薬です。
完全に殺してしまわないと、生き残るために変異を起こし、抗生物質が効かない細菌(耐性菌)に変化してしまうことがあります。
抗生物質の中途半端な使用がもっとも危険です。
耐性菌は以前は院内感染で問題とされてきました。
しかし、今や一般市中細菌として、健康な小児の鼻腔からこの耐性菌が検出されることも珍しくありません。
ひとたび、耐性菌による感染を起こしてしまうと、抗生物質の内服薬では抑えきれずに、長期の入院が必要になったり、生命を脅かされることさえあります。
耐性菌を作らないためには・・・ 抗生物質の使用は医師の判断にまかせましょう。
抗生物質は充分な量を充分な期間使用しなければいけません、自己判断での中止はやめましょう。
必ず守って下さい
余った抗生物質をとっておいて、かぜを引いたときに自己判断でそれを飲んでは絶対にいけません。
自己判断で服用した抗生物質が、症状を中途半端に消してしまい、正しい診断ができなくなることがあります。
また、中途半端に服用することで抗生剤が効かない細菌(耐性菌)を生み出すきっかけにもなります。絶対にやめましょう。
抗生物質の使用を考慮するとき
1)溶連菌感染症など細菌感染を疑うとき。(迅速検査が診断の参考になります)
2)中耳炎を起こしているとき。
3)尿路感染症を起こしているとき。
4)高熱が3日以上持続するとき。
5)膿性鼻汁(青バナ)が続くとき。
6)咳が強く長く続くとき。
7)血液検査で白血球数や炎症反応(CRP)の数値が高いとき。
8)培養検査で有意の起炎菌が検出されたとき。
9)免疫学的弱者(3歳未満)の発熱。
かぜ症状で一般状態が良好なとき、細菌感染を疑う症状がないときはできるだけ抗生物質は使用せず、3日間は経過を見てよいと思われます。