発熱について
わきの下で37.5℃以上を発熱と考えます。
ただし、平熱には個人差がありますので、体調が良いときにも時々体温を測っておくと良いでしょう。
発熱はさまざまな原因で生じる一つの症状であって、病気ではありません。
感染症が起こると、免疫細胞(白血球、マクロファージ)が活性化され発熱物質を放出し、それが体温調節中枢の体温設定を上昇させることにより発熱が起こります。
発熱の影響(功罪。悪いことだけではありません。)
良い影響:免疫力を高め、生体の感染防御機能を高めます。
悪い影響:体力の消耗、熱せん妄、熱性けいれん。
発熱への対処のポイント
熱の高い低いで病気の重さを判断してはいけません。
高熱だからといって重大な病気であるというわけではなく、また、あまり高くない熱だからといって軽い病気とは限りません。
「発熱の原因が何なのか、何の病気なのか」が大事です。
よく「熱が高いと脳に障害が残る」などといわれますが、単に熱が高いだけでは脳に障害は起こりませんのでご安心下さい。
発熱症状の見方 ~熱の高さより機嫌の良し悪しが大事~
熱があるときは機嫌の良し悪し、食欲のあるなし等を観察すること、つまり、熱以外の一般状態が良いか悪いかで判断することが大事です。
例えば、機嫌が悪くあやしても泣き続けている、顔色が悪い・皮膚の色が悪い、意識がもうろうとしている、けいれんした、などの場合は急いで受診して下さい。
水分や食事が取れない、吐き気を伴う、おしっこの量と回数が少ない、などの場合も受診して下さい。
逆に、熱は高くても笑ったり、食欲もあり、遊んだりできる場合は重大な病気が隠れている可能性は低いと考えられます。
-発熱したときどのように対処すればよいか
厚着は禁物です。また、水分を十分にあげて下さい。
体温が急激に上昇するときは、寒気、ふるえ、手足が冷たくなる、などの症状がみられます。
このような時は、一時的に毛布などで暖かくしてあげて下さい。
ただし、熱が上がりきってしまえば、このような症状は無くなりますので、後はできるだけ涼しくしてあげて下さい。
お子さんが生後3ヶ月未満であれば家で様子を見ずに、すぐに受診して下さい。
3ヶ月未満の発熱では髄膜炎、敗血症、尿路感染症などの重症細菌感染症の可能性があり、原則として入院管理が必要です。
解熱剤は生後6ヶ月を過ぎれば使ってもよいでしょう。
ただし、解熱剤は熱を一時的に下げるだけで、病気の治療薬ではありません。
ですから、仮に高熱でもお子さんが元気にしていれば無理に熱を下げる必要はありません。
こどもがすごしやすい環境を整えてあげるのが重要です。
体を冷やすときは氷嚢で脇の下や太ももの付け根を冷やします。
頭を無理に冷やす必要はありませんが、頭を冷やすことがこどもにとって心地よければ氷枕などを使ってあげて下さい。
-解熱剤の使い方
小児に安全に使用できる解熱剤はアセトアミノフェンとイブプロフェンのみです。
座薬または飲み薬として使います。
概ね38.5℃以上での使用が勧められていますが、発熱の功罪を考慮して使用するタイミングを決めましょう。
頭痛を訴えたり、きつがっているときは早めに使ってあげましょう。
解熱効果が不十分であったり、効果が切れてまた熱が出てくるときは、6時間以上の間隔をあければ再投与できます。
熱冷まし用冷却シート(熱さまシート、ひえピタ、など)について
おでこを冷やしても体温を下げる効果はありません。
張るのなら脇の下やわき腹が良いでしょうが、コマーシャルのように「ぐんぐん熱が下がる」とは思えません。
嫌がるこどもに無理に貼っても意味がありません。
貼った瞬間の冷たさと、貼ってくれる母親の愛情はこどもにとって心地よいものでしょう。
赤ちゃんには使用しないで下さい。冷却シートが乳幼児の口と鼻をふさいでしまい、後遺症を残した事故が発生しています。
冷却シートを確実に自分で剥がせる、1歳以上を使用の目安にしましょう。